ヒートマットの種類
ヒートマットはその形状や特徴、素材によっていくつかの種類に分けることができます。それぞれ目的に合うマットが異なるため、一般的な使用シーンも併せてご説明します。
ヒートマットの形状による違い
ヒートマットと呼ばれるものでも、いくつか形状によって種類があります。大きく分けて3つあり【敷きタイプ】【ラップタイプ】【ドームタイプ】、例外ですが【パーツ専用タイプ】が挙げられます。
【敷きタイプとは】ホットカーペットのような、通常のマット型です。多くのサロンでは施術ベッドの上に敷き、その上にベッドタオルシーツを敷きます。フェイシャルエステやマッサージなどを施術する際に冷え対策、リラックス効果、施術効果アップを目的に使われます。
【ラップタイプとは】形状により二つ折り、三つ折りタイプとも呼ばれます。上下が分離するタイプも存在します。人を360°全体をくるみ、マシックテープやファスナー、バックル等で固定します。ヒートマットから出る熱を逃がさない構造なので、内部の温度が高温になることが特徴です。痩身エステで多く使われ、発汗を促す目的に使われます。
【ドームタイプとは】人を取り囲むように設置する半円型の温熱機器です。ドーム部分だけ温まるものもあれば、ドーム部分と下に敷くマット部分両方も温まるものも。全身すっぽりと入る長いものもあれば、お腹や脚など一部を温める短いものもあったりと、様々なタイプが存在します。ラップタイプ同様、熱を逃がしにくい構造ですが、広い内部でヒートマットの重みを感じることが無いため使用中も快適に過ごすことが可能です。痩身エステだけでなく、整体やリラクゼーションでも取り入れているお店があります。
【パーツ専用タイプ】グローブ型やブーツ型をしていることが多く、ハンドやフットなど限られた部位のみ温める温熱機器です。これらは一般的にヒートマットとは呼ばれませんが、エステサロンとの関係性が高く、同列に取り扱われることもあります。パラフィンパックを行うネイルサロンや、脚痩せ専門サロンなどで導入されています。
ヒートマットの電熱線による違い
ヒートマットの熱源である電熱線によっても分けることが出来ます。また、電熱線以外のものを使用したマットもあります。主に【ニクロム線】【カーボンファイバー】の2種類があり、珍しいものだとボイラーを使って水を温めて熱源にするもの、全面が均一に温まる面状ヒーターを使用したものも存在します。
【ニクロム線ヒートマットの特徴】安価で製造できることが特徴です。ほとんどのヒートマットに採用されています。温められる温度はおよそ65℃まで。ただし、電線が一本しかなく固い素材のため断線しやすいデメリットがあります。ニクロム線を使用したヒートマットは折り畳んで収納すると寿命が縮んでしまうので注意が必要です。
【カーボンファイバーヒートマットの特徴】コストがニクロム線のおよそ5倍と高く、製造しているメーカーも限られます。温められる温度は80度と高温まで耐えることが可能です。電熱線が髪の毛のように細くしなやかで、ひと束に2〜3万本も電熱線があるためハサミで切らない限り断線しないことが特徴です。熱伝導率がニクロム線に比べ1.5倍ほど高いため、すぐ温まるというメリットも。カーボンファイバー自体が遠赤外線を放出するため「遠赤外線ヒートマット」と謳われたヒートマットにはだいたいカーボンファイバーが採用されています。ただし、後述でも紹介しますが鉱石を温めた方が遠赤外線放出量が多いため、遠赤外線の効果を得たい場合は鉱石が使われているタイプのヒートマットを選ぶようにしましょう。
【温水式ヒートマットの特徴】消費電力が通常のヒートマットの約40%程度と低く、ヒートマット自体には電気が通らない仕組みなので電磁波が気になりません。寝心地もウォーターベッドのようにクッション性が高いことが特徴です。体感できる温度が低いこと、水循環のためフィルターの交換が定期的に必要なことなどがデメリットに挙げられます。
ヒートマットの使用素材による違い
ヒートマットは形状や電熱線の種類以外にも、マット部分に使われる素材によっても目的が異なります。施術内容によっても適したマットがあるので購入前に確認した方がよいでしょう。表面の生地が【撥水加工生地】のものと、【非撥水生地】のもの、【岩盤浴タイプ】のものがあります。
【撥水加工生地】主にPVCが使用され、オイルトリートメント施術の際でも拭き取りやすく汚れにくいのが特徴です。多くのヒートマットに採用されています。ただし汗やオイルが縫い目などに染み込むと臭いの原因になるほか、電気接続部などに入り込むと故障するためパラフィンシートを使うなど工夫して使うことをおすすめします。PVCは比較的安価で製造できます。
【非撥水生地】布地やPU生地など、水分が染み込みやすい素材を使ったマットです。ホットカーペットのような布地のマットはクッション性が高く、オイルを使わないリラクゼーションマッサージに向いています。またPUレザー(合成皮革)のため、触り心地が滑らかなため高級感があります。後述する岩盤浴タイプの中には、ヒートマット内部に石を入れ込んだタイプにPU生地を採用したものがあります。これは、PVCに比べてPUは空気をよく通すため、岩盤浴の効果がより人体に効きやすくすることを目的としているためです。PUはPVCに比べ高価であることも特徴のひとつです。
【岩盤浴タイプ】生地に天然鉱石を練りこんだもの、もしくは天然鉱石が直接人の肌に触れるように設計されているものが挙げられます。生地に天然鉱石が練りこまれたタイプは見た目に通常のヒートマットと違いがほとんどありません。石が肌に直接触れるように設計されたヒートマットは岩盤浴施設と同じような体験を提供することが出来ます。ただしこのようなタイプは重さや収納に関してデメリットがあり、価格も高価です。岩盤浴に使われる鉱石は温めることで遠赤外線やマイナスイオン、ラドンなどを放出してくれます。発汗量や温熱効果、リラクゼーションも更に期待することができるため、通常のヒートマットと充分に差別化を図ることが可能です。
ヒートマットの効果
ヒートマットを提供する際、どのような効果があるのかお客様に説明をするサロンは実際には多くないようです。実際には、前述したヒートマットの種類によって得られる効果もまちまちで、「ヒートマット」と聞いただけでその効果を特定することは出来ません。ヒートマットを選ぶ際には、どのような効果をもたらしたいのか、サロンのメニューと組み合わせたシミュレーションをした上で判断するのが望ましいでしょう。
ヒートマットに痩身効果はある?
ヒートマットの種類によって「減量」なのか、「痩身」なのか、それぞれ得られる効果が異なります。
痩身エステでは来店カウンセリングの際に計測を行います。その際に測った体重と、施術後に測る体重に差を出すために発汗をさせます。個人差はありますが200〜400mlほど発汗することで減量させ、発汗することでむくみを取り、サイズダウンにも繋げることが可能です。ボディビルやフィジーク、ビキニフィットネスの選手が大会前にサウナやヒートマットを使って水抜きをし、体のボディラインを強調させる(カット出し)ことと同じことです。ただ汗をかくだけではエネルギーを消費したり、脂肪を燃焼したりする効果はありません。
これに対し、遠赤外線を放出するタイプのヒートマットは痩身効果を見込むことができます。それは汗をかいて減量するだけでなく、体の内部を温めることによって内臓の活動を活発的にし、代謝を向上させることで痩せやすい体に導きます。その場でサイズダウンするわけではありませんが、続けて使用することで痩身効果が見込めます。
汗をかくことにどんな効果があるの?
汗をかく理由は、主に体温調整のためです。精神的な影響や味覚に刺激があった時も汗をかきますが、ヒートマットとはあまり関係がないのでこの2つに関しては割愛します。
ヒートマットで汗をかくのは、外気が温まることによって肌の表面温度もしくは体内の温度が上昇し、汗が出ます。普段から汗をかく習慣がなかったり、エアコンの効いた部屋ばかりで過ごし体温調整を自分でしていない人は汗腺の機能が低下しています。汗腺の機能が低下すると、質の悪い汗をかくようになります。悪い汗はミネラルを一緒に体外へ流してしまうため、内臓機能の低下に繋がります。痩せにくい体になったり体調を崩したり、夏バテになりやすくなってしまいます。ヒートマットは汗腺を鍛えるのにも役立つといえる
でしょう。
岩盤浴の石の効果って本当にあるの?
岩盤浴の石の効果は目に見えず、温度計などで測ることも難しいため伝わりにくいかもしれません。実際に放射能を帯びた天然石は存在し、温めることで多くの遠赤外線を放出し、マイナスイオンを生成する石も存在します。河に落ちている石と厳選された石ではその放出量が異なることが特徴です。岩盤浴ではそのように効果がある石が加工されたプレートもしくは石粒を使用しています。
それぞれ石が放出するものがいかに人に効果をもたらすのか疑問にもつかもしれません。「マイナスイオン」と検索すると「マイナスイオン 効果無い」といったサジェストが出てくることもあります。しかしマイナスイオンは成人男女の自転車漕ぎ運動や動物実験など、様々な臨床で人体に良い効果をもたらすと実証された例もあり、一概に効果が無いとは言えないでしょう。ラドンによるホルミシス効果についても関節リウマチ・腰痛・神経痛・喘息・がん再発防止・がん治療向上・糖尿病等に対して有効だという研究があります。遠赤外線が人体に良いとされているのはNASAの研究結果の通りです。
石は温まる、刺激が加わるなどすると遠赤外線やマイナスイオン等を放出するものがほとんどです。岩盤浴のように石は温めることで効果があるものへと変化しているといえるでしょう。
サウナと岩盤浴の違いは?
サウナと岩盤浴の一番の違いは、加熱方法の違いです。
加熱方法には3つあり、熱いものを直接触れさせる「熱伝導」、空気の熱が周りに伝わる「対流」、電磁波が物体にあたると、熱が発生する「放射」があります。サウナは主に対流。岩盤浴は熱伝導もありますが、遠赤外線を放出する石を使っている場合、放射によって人体を加熱しています。
これらの違いは肌の表面温度を上昇させるか、体内の温度を上昇させるかだと言えます。サウナと岩盤浴では設定温度が異なり、サウナでは室温が非常に高く設定されており、岩盤浴ではそうではありません。ですがどちらも汗をかくことは変わりなく、これには遠赤外線が大きく関係しています。遠赤外線サウナの設定温度が通常のサウナよりも低い理由は、岩盤浴のように体の内部を温めて汗をかくことが出来るためです。
遠赤外線は体を芯から温めると言われることもありますが、体の奥深くを温めることが出来る電子レンジと同じマイクロ波とは異なりますのでこの言い方には少し語弊があるかもしれません。遠赤外線が温めるのは皮下数mm程度だと言われていますが、この数mmが非常に大きなポイントです。そこには毛細血管や静脈・動脈が走っています。血管を温めることにより血流が向上し、これにより全身が「芯から温まる」ように感じられます。サウナのように対流加熱では夏と同じく肌の表面が温まり、この温度を下げようとして汗が出ます。
もちろん岩盤浴に使われる石の特性を享受できることもポイントとして挙げられます。
急速な加熱と冷却を繰り返し、ととのう体験ができることはサウナの特権です。
ヒートマットの使い方
ヒートマットは目的に応じて製品を選び、使用方法も工夫する必要があります。ヒートマットを自社で製造・販売しているエステ機器メーカーがその使い方をご説明します。
痩身エステでのヒートマットの使い方
汗の量を多く出すことが出来るヒートマットを選びましょう。痩身エステでは採寸での結果出しがリピートに繋がる最も重要なポイントになります。なぜならマシンでは肉質など変えることはできても、その場で見た目に納得出来る変化をもたらすことが難しいからです。そのため施術終了後の見た目をスッキリさせ、それを採寸において数字で見せることが必要になります。むくみを取り、体重を減らすために発汗を重視したヒートマットが必要になります。 しっかりと密封できるヒートマットは「ラップタイプ」「ドームタイプ」がいいでしょう。足元や首回りなど「耳」がついていて、散熱を防ぐことができる形状のものが更に効果的です。お客様の首回りにタオルを巻いて更に隙間を埋めるなど工夫もしましょう。発汗量が多いため、パラフィンシートの併用も忘れないように。 ただしヒートマットはエステ機器と併用ができないので注意するようにしましょう。ラジオ波などの施術をする際、ヒートマットの電源は必ず切ってから行ってください。
リラクゼーションサロンでのヒートマットの使い方
アロマトリートメントや整体サロンでは、「敷きタイプ」のヒートマットを使用すると良いです。施術中ずっと温かい環境で過ごすことが出来るため顧客満足度が上がります。ベッドによってはうつ伏せの際に顔を入れることが出来る有孔ベッドを使うサロンもあるかと思います。その際は有孔ベッドに対応したマット、もしくは兼用タイプのものを探しましょう。 施術時間が長くなることもあるかと思いますので、2時間以上連続使用できるものはメリットがあります。長時間の施術になるので低温火傷が心配になりますが、遠赤外線や岩盤浴タイプを選ぶことによって設定温度を低くしても温かく感じるためその心配が解消されます。 オイルを使うメニューがあるお店は撥水タイプのヒートマットやパラフィンシートの併用がおすすめです。
自宅でのヒートマットの使い方
美ガーデンはエステ用品店として、主に法人のお客様にヒートマットを販売して参りましたが、最近では個人のお客様にお買い求めいただく機会が増えました。ヒートマットをサウナ代わりにしたり、毎日使うことで代謝向上を求める方が増えています。
敷きタイプ、ドームタイプのヒートマットは特に問題はありませんが、ラップタイプのヒートマットは選ぶ時に1人で着脱できるか注意が必要です。ラップタイプのヒートマットはファスナーやマジックテープ、バックル等で固定しています。広いスペースが取れないベッドでの使用の場合は着脱しやすいダブルファスナータイプがおすすめです。通常のファスナーはマットの外側に持ち手がついていますが、ダブルファスナーは内側にも持ち手がつき、1人でも開閉できるようになっています。
パラフィンシートの使用もいいですが、タオルを使った方が心地よく過ごすことができます。タオルはバスタオルよりもベッドカバー等に使われる大判タイプの方が火傷のリスクを軽減することができるためおすすめです。ヒートマットは気持ちよくうとうとと寝てしまうかもしれませんので脱水症状にならないためにもタイマーは必ず無理のない範囲で設定しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ヒートマットは種類がたくさんあり、価格も大きく異なりますのでどれにしようか悩まれる方も多いかと思います。美ガーデンではお問い合わせいただきましたお客様に合わせて適した1枚を、自社製品・他社製品に限らずご提案させていただいております。ぜひお問い合わせくださいませ。